父と息子

あの頃を思い出して

来月、授業で炊事遠足があるから

手回し火起こし貸して

って子供が私に言うので

パパに聞いて というと

つかつかとパパのところへ

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我が家はよく家族でキャンプに行ってた

父と息子の二人だけのキャンプもしたし

二人で北海道の道の駅を全制覇したんだった

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思い出すんだね

この手回し火起こしひとつで

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他に何か使うものがあったら持っていっていいよ

とパパ

テント持って行ってその中でトランプでもしたいでしょ

ってママ

そんなの持っていったら叱られるよ..

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あのとき あの中で

みんなでトランプしたことを思い出す

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気がつけば笑ってる

父と子はあの頃の思い出の中にいる

失敗したけど美味しかったホットサンドも

テントに入り込んだ虫から逃げたことも

カヌーで小さな波に揺られたことも

全て父との楽しかった思い出だから

息子の笑顔があふれてる

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子供の心の中に

いつまでも残っているってこと

これってもう、決して失わせてはいけないよね

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アルバムの中に

父と子が山の頂上で笑っている写真がある

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子供が始めての登山で転げ落ちたとき

意識を失った

立ち木に体当たりしたけど

背中の水筒が彼を守ってくれた

水筒ってこんなに凹むもんだって初めて知った

その水筒が無かったら...

立ち木がそこに無かったら...

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父はその話を聞いて

息子を同じ山へ誘った

小学三年生 険しすぎる山

子供にとっては二度と登りたくない山

そして父にとって初めての登山だった

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自信をなくしたままではいけない

父が息子の体を支え 勇気付け

頂上へ登ったときの笑顔だった

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今回、父がしたことは許せないけど

あの時の父は父親らしかった

そして、積み重ねてきた思い出が

きっと息子を笑顔に戻してくれる

だって、手回し火起こしひとつで

こんなに笑えたんだから

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昨日はキッチンでわたしも笑顔だった

二人の笑う姿が本来の姿だって思えるから

きっとパパも嬉しかったはず

息子が部屋に戻っていっても

パパの顔は笑顔のままだったもの

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子供に対し

自分は水筒よりも 立ち木よりも

守れなかった父親だったなんて

言葉にする日が来るとしたら

こんなこと悲しすぎるよ

全てを大切に思おうよ

だって、本当に大切なんだからさ

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父へ

バイクの免許が欲しい?

何言ってるの!

それが長年の夢だったなんて

そんなの認めない

きっとひとりで旅に出るとか言って

後ろに何処かの女を乗せるんだよね

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昨日息子が父親に言ったことば..

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息子の心のなかにやっぱりある

父に対しての怒りが..

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勝手なことをして

家族を苦しめて

信用ゼロの今

バイクで旅をしたい?

パパは何を考えているのさ!

家族を誘って旅行しようとは思わないの?

そこで何故ひとりなのか

パパの考えは理解できない

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何も反論できない父親をにらみ付けて

息子は自分の部屋に入っていった

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少ししてから部屋へ行ってみた

もくもくと勉強している息子の背中で

「パパのこと本当に嫌い?」

って聞いてみた

息子は

「嫌いだ」と小さな声でつぶやいた

「不倫したときから嫌いになった」

と答えた

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子供は我慢していた

家族が一緒にいるのが一番いいから

ずっと我慢してくれていた

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夫に 

「しばらくはバイクの話はしないで」と伝えると

寂しく頷いていた

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もう一度ちゃんと知ってほしい

あなたのしたことが

こんなにも子供の心を苦しめてしまったよ

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パパ..夢を語るにはその前提があるでしょ

今のままでは楽しく語れないんじゃない?

もういちどよーく考えてほしいな 

男である前に父親として

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父との距離

息子はあのことから

距離を置くようになった

父と...

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たどたどしい言葉で話す2歳のときから

父は子と旅をしていた

両親が手を伸ばせば

息子はママのところに走る

そんな寂しさから

この計画が始まった

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父と手を繋ぎ

旅に出かけていたあの頃から

父の背とほぼ同じになった今まで

ずっと続いていたこの旅を

これからも

出来る限り続けていこう

何でも言い合える父と子の

信頼で繋がった約束だった

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でも今、子は意識して距離を置いている

父はそれを感じている

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子供の成長から起こる距離とは違い

この距離を縮めることは

なかなか難しい

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